かかりつけ薬剤師制度の裏側!やりたくない理由を暴露

かかりつけ薬剤師制度とは、本来患者さんを継続的にサポートする仕組みです。しかし現場では、24時間対応やノルマなど想像以上の業務負担に悩まされる薬剤師が少なくありません。
その結果、「かかりつけ薬剤師なんてやりたくない」と感じる人もいるのです。

本記事では、制度の目的や課題、その背景にある理由、最新の動向まで詳しく解説します。

かかりつけ薬剤師をやりたくないと感じる理由

かかりつけ薬剤師制度が推進される背景には、患者中心の医療連携があります。しかし実際のところ、この制度に伴う業務は想像以上の負担になることが多いです。
そのため、中堅薬剤師以上の世代の中には「かかりつけ薬剤師なんてやりたくない」と感じるケースも少なくありません。

24時間対応・休日対応の重圧

かかりつけ薬剤師に選ばれると、原則として24時間いつでも患者さんからの問い合わせに対応しなければなりません。
薬局が閉まっている夜間でも、服薬で不安になった患者さんから電話がかかってくることがあります。
こうした対応は夜勤と同等の負担であり、深夜や休日にプライベートの時間を削る大きな要因です。

ノルマや評価基準によるプレッシャー

かかりつけ薬剤師には、かかりつけ指導料の算定に向けた目標が課される場合があります。
患者さんにかかりつけ薬剤師への登録をお願いし、その比率を評価されるケースも見られます。
このようなノルマは業務の効率化を妨げ、精神的なプレッシャーの原因になり得るのです。
また、同意書への記入時間を確保しながら窓口での調剤も進める必要があり、作業が重複すると患者さんを長時間待たせることにもなりかねません。

患者対応に伴うストレスと疲労

かかりつけ薬剤師は、薬だけでなく生活習慣や健康相談まで幅広く対応します。
中には薬に対して非常に不安を抱えたり、頻繁に相談を持ちかけてくる患者さんもいます。
こうした場合、患者さんの不安を解消するには時間がかかり、精神的に大きな負担になり得ます。
さらに、万が一重篤な副作用や体調悪化の報告を受けた際は「もっと早く気づくべきだった」と自身を責めてしまう薬剤師も多く、終わりのない気遣いで疲弊してしまいます。

長時間労働とプライベート時間の不足

かかりつけ薬剤師の業務は、通常の調剤業務に加えて多くの追加業務を伴います。そのため、勤務時間が延長されることは少なくありません。
時間外労働が常態化すると、どうしてもプライベートな時間が削られてしまいます。

その結果、家族とのコミュニケーション不足や自己研鑽の時間が取れず、ワークライフバランスが大きく乱れてしまう薬剤師もいます。
ワークライフバランスの悪化は心身の疲労を蓄積させ、仕事への意欲低下を招く要因の一つです。

心理的な負担と罪悪感

患者さんを支えるという責任感の反面、かかりつけ薬剤師には心理的な負担も付きまといます。
たとえば患者さんが誤って服薬したり体調が急変した場合、「自分がもっと注意すべきだった」という罪悪感に苛まれてしまうことがあります。
また、かかりつけ制度の運用方法に疑問を抱えつつ業務を続けることで葛藤が生じる薬剤師も少なくありません。
こうした心理的負担が重なると、大きなストレスとなって「やりたくない」という気持ちを強めてしまいます。

かかりつけ薬剤師制度とは?目的と導入の背景

かかりつけ薬剤師制度は、地域のかかりつけ医に相当する薬剤師が患者さんを継続的にサポートする仕組みです。
この制度は厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」に基づき、2016年に診療報酬制度に導入され、本格運用が始まりました。
患者さん一人ひとりの薬歴管理を薬剤師が責任をもって行い、薬物療法の安全性を高めることで、地域包括ケアシステムを支える役割が期待されています。

制度導入の背景:患者のための薬局ビジョン

2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」では、地域の薬局が患者さん中心の医療提供を行うことが求められました。
このビジョンに基づき、かかりつけ薬剤師制度では患者さんが信頼できる薬剤師を自ら選び、薬物治療を継続的にサポートする体制が規定されました。
ビジョンでは、ICTを活用した服薬情報の共有や24時間対応、在宅医療との連携などを薬局に求めており、これがかかりつけ薬剤師制度の基本方針となっています。

かかりつけ薬剤師に求められる要件

かかりつけ薬剤師に登録するにはいくつかの要件があります。
まず、3年以上の実務経験がある薬剤師であることや、同一薬局で一定期間(通常1年以上)の勤務実績が必要です。これらの要件は専門性と経験を担保するためのものです。
さらに、患者さんにはかかりつけ薬剤師の同意書に署名していただく必要があります。こうして患者と薬剤師の合意のもとで、制度がスタートします。

診療報酬におけるかかりつけ薬剤師指導料

かかりつけ薬剤師として行う薬学管理や指導には、診療報酬上で「かかりつけ薬剤師指導料」という加算があります。
この指導料は、24時間体制の対応や服薬フォローアップなど所定の要件を満たすことで算定が可能です。
2024年度の診療報酬改定では24時間対応要件が緩和され、薬局全体で相談できる仕組みが認められるなど、算定要件の見直しが行われました。

2025年に向けた国の方針と目標

政府は地域包括ケアシステムを強化するため、2025年までに全薬局にかかりつけ機能を備える計画を打ち出しています。
厚労省の指針では、患者さんが信頼できる薬剤師を選んで医療を受けられる体制が重視されており、かかりつけ薬剤師制度はこの取り組みの中核です。
高齢化に伴う在宅医療の需要増加や多職種連携の進展により、今後も薬剤師に求められる役割は拡大すると見込まれています。

かかりつけ薬剤師に求められる具体的な業務内容

かかりつけ薬剤師には、患者さん個々の薬歴管理と服薬指導が求められます。
薬歴を使って過去の処方内容を把握し、重複投薬や相互作用のチェックを行います。必要に応じて医師に状況を連絡し、処方の変更を提案することもあります。
また、在宅療養中の患者さんに対しては自宅を訪問して薬の管理状況を確認し、正しい服薬方法や生活習慣のアドバイスを行います。

患者ごとの服薬プラン作成・服薬管理

かかりつけ薬剤師は、患者さんごとに薬物治療計画を立て、服薬状況を継続的に管理します。
診察のたびに患者さんの体調や服用状況を確認し、その都度薬歴簿へ記録します。
これにより薬の重複投薬や相互作用を防ぎ、安全な服薬指導が可能になります。

24時間対応と在宅医療への対応

24時間体制で患者さんの問い合わせに対応できる仕組みが求められています。
在宅医療中の患者さんには、自宅を訪問して必要な薬の手配や投薬状況の確認を行います。
訪問時には患者さんの服薬状況をチェックし、不足している薬の手配や副作用予防のアドバイスを提供します。

服薬状況の継続フォローと指導

服薬指導は調剤時だけで終わりではありません。かかりつけ薬剤師は定期的に患者さんの服薬状況をフォローアップし、効果や副作用について確認します。
電話や対面で「薬は問題なく飲めていますか」と尋ね、必要があれば飲み忘れ対策などの説明を行います。
こうした継続的な支援により服薬コンプライアンスを高め、治療効果の維持・向上を目指します。

医師や介護者との連携業務

かかりつけ薬剤師は、医師や看護師、介護者と密接に連携します。
訪問先や医療機関と情報交換を行うことで、患者さんの容態や生活背景を共有し、薬物治療計画の立案をサポートします。
疑義照会があった際には専門的な見地から提言を行い、多職種チームの一員として患者さんの適切なケアに寄与します。

薬歴管理と適正使用の情報提供

かかりつけ薬剤師は、薬歴簿を活用して患者さんの服薬状況を一元管理します。
新しい薬が処方された場合や用法・用量が変更になった際には、患者さんに対して薬の効果や副作用、正しい飲み方を丁寧に説明します。
これにより患者さんの理解が深まり、薬剤が安全かつ効果的に使用されるよう支援します。

かかりつけ薬剤師が抱える主な負担と課題

時間外・休日対応の義務化に伴い勤務時間が長くなることがあります。24時間体制を準備するには夜間休日に問合せ対応できる体制が必要です。
業務内容やシステムへの記録業務が増え、労働時間が延びることも少なくありません。報酬制度と実際の業務のギャップもストレス要因になっています。

特に人手不足の薬局では複数の役割を兼任せざるを得ず、メンタルヘルスへの負担が増大しています。働き方改革が進む一方、24時間対応要求との間で矛盾や負担増加の声も出ています。

かかりつけ薬剤師を辞めたい・回避したい場合の対策

かかりつけ薬剤師に就くかどうかは、原則として薬剤師本人の判断です。業務負担が大きいと感じる場合は、対応策を早めに検討しましょう。
まず上司や同僚に自分の状況を相談し、業務分担や手順の見直しが可能か確認します。

かかりつけ薬剤師同意書への対応

患者さんにかかりつけ薬剤師同意書を案内する際には、内容をよく理解しておきましょう。署名頂く範囲を超えて不安がある場合は、患者さんに制度の趣旨を説明し、別の薬剤師が担当しても問題ない旨を伝えることもできます。
かかりつけ薬剤師制度はあくまで患者さんの選択によるものですから、無理に同意書にサインしてもらう必要はありません。

上司や同僚との相談

まずは職場の上司や同僚に現状を相談してみましょう。
多くの薬局では複数の薬剤師でかかりつけ業務を分担する体制づくりが進められており、業務マニュアルを整備するなど負担軽減の工夫も行われています。
同僚と協力して自分一人が過度に負担を抱え込まないように調整することが重要です。

マニュアルや制度の見直し

かかりつけ薬剤師制度はまだ新しく、運用方法も職場によってさまざまです。
勤務先で運用マニュアルを整備し、対応手順を標準化することで負担を減らせます。例えば、24時間対応時の連絡体制や相談対応フローをあらかじめ決めておくことで、緊急時の混乱を防ぐことができます。

転職・異動など働き方の選択

どうしても負担が大きい場合は、勤務先や働き方を変えるのも一つの方法です。
かかりつけ薬剤師制度に積極的でない薬局や、偏りなく業務分担がされている職場に転職することでストレスを軽減できる可能性があります。
あるいは、パートタイムへの切り替えや役割を変えることで、無理のない働き方を実現できる場合もあります。

かかりつけ薬剤師制度の最新動向と今後の展望

最新の診療報酬改定(2024年度)では、かかりつけ薬剤師制度に関連する評価項目に変更が加えられました。
以下では具体的な改定内容と今後の見直しポイントを紹介します。

2024年度診療報酬改定の概要

2024年度の調剤報酬改定においては、かかりつけ薬剤師制度に関する要件が見直され、制度活用のハードルが下げられました。
たとえば、24時間対応要件が緩和され、携帯に出られない時は薬局内の他のスタッフが応対しても算定要件を満たすことが認められています。
また、新たに在宅患者への対応を評価する「在宅薬学総合体制加算」が創設され、在宅訪問体制を整えた薬局には加算ポイントが付与されるようになりました。

24時間対応要件の緩和

以前は登録薬剤師本人が24時間対応することが要件でしたが、今回の改定でこの要件が緩和されました。
具体的には、かかりつけ薬剤師本人が対応できない場合でも、同一薬局のほかの薬剤師が電話応対できれば算定要件を満たすことが認められています。
この変更により、患者さんへの対応スピードを落とさずに個人負担を軽減することが可能になりました。

在宅薬学総合体制加算の導入

在宅医療への貢献度を評価するため、「在宅薬学総合体制加算」が新設されました。
従来の在宅加算よりも高い点数を得るには、薬局が在宅訪問実績24回以上を満たすことに加え、小児服薬支援や麻薬備蓄・無菌調製体制などが必要です。
小児対応や無菌調製設備の整備は費用と手間がかかるため、特に中小規模薬局にとっては負担増となる可能性があります。

電子処方箋・医療DX関連の動向

医療のデジタル化推進も、かかりつけ薬剤師の業務に影響します。
2024年度改定では電子処方箋対応の薬局に加算が設けられ、2025年には電子処方箋利用が法律で義務化される見込みです。
薬局では電子カルテやオンライン服薬指導の導入が進む一方、システム導入費用や操作研修など新たな負担も生じています。

今後の課題と国の目標

これらの改定は薬剤師の負担軽減と患者サービス向上を狙いとしていますが、現場では依然として人手不足や設備投資といった課題が残ります。
厚労省は最終的に全国の薬局へのかかりつけ薬剤師・薬局の導入を目標としていますが、その実現には職場の仕組みづくりと薬剤師の働き方両方の工夫が必要です。
薬剤師一人ひとりは、効率的な業務運営の工夫や他職種との協力を通じて負担を軽減しながら、自身の専門性を生かした患者支援に努めることが求められます。

まとめ

かかりつけ薬剤師制度には患者さんの薬物治療を支える重要な意義がありますが、実際には薬剤師に対する業務負担も大きい面があります。
24時間対応やフォローアップ業務によって「やりたくない」と感じる薬剤師もいる一方、診療報酬改定などで制度の運用自体も徐々に見直されています。

メリット デメリット
患者さんとの信頼関係が深まる
薬物治療の安全性が向上
24時間対応など業務負担が増大
長時間労働や休日対応が必要
地域連携による総合ケアが可能に ノルマや業務量によるストレス増加
プライベート時間の減少

今後は薬局同士の連携強化や職場の体制整備とともに、薬剤師自身も効率的な働き方を模索することが重要です。
かかりつけ薬剤師制度の目的を再確認しながら、無理なく患者さんを支えられる環境を整えていけるとよいでしょう。

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