看護師として働く中で、より自分に合った職場を求める人も多いでしょう。
転職は大きな決断ですが、計画的に進めればキャリアアップや希望条件の実現につながります。
本記事では、看護師が転職を成功させるための手順やポイントを具体的に解説します。
目次
看護師の転職はどうやって始める?
転職活動を始める前に、まず「なぜ転職するのか」「どんな条件を重視するか」など目的や目標をはっきりさせましょう。
たとえば夜勤がつらい、スキルアップしたい、家庭との両立を図りたい、など転職したい理由は人それぞれです。理由が明確になると、応募先の選定や交渉でもブレが少なくなります。
また転職のタイミングも重要です。看護師の転職活動は一般的に1~2ヵ月程度かかると言われています(多忙な合間に進める場合はもっと長期になることもあります)。2025年問題により看護師不足が懸念されている今は、病院側も積極的に採用を進めています。
このチャンスに焦点を当てて計画を立てれば、有利に転職活動を進められます。
転職の目的と希望条件を整理する
転職理由が曖昧だと、ただ給与だけ高い職場に飛びついてしまい、結局入職後にミスマッチと感じることがあります。
まず現在の職場で不満な点や負担に感じていることを書き出し、転職で解消したい問題を整理しましょう。
例えば「夜勤が身体的に厳しいので日勤中心の職場に移りたい」「医療現場で教育に関わりたいから教育機関で働きたい」など具体的に考えてみてください。
条件が出そろったら優先順位をつけます。
全ての希望を満たす職場は少ないため、妥協できる点と絶対譲れないポイントを見極めることが大切です。
もし交渉できる領域がある場合には、どこなら交渉するかも検討しましょう。
転職時期の決め方
いつ転職活動を始めるかは、仕事の繁忙期や家庭の都合なども踏まえて決めましょう。一般に年度末や秋の時期は求人が増えると言われていますが、常に少し余裕を持って準備すると安心です。
繁忙期と重なると求人探しや退職準備が難航します。もし在職中に活動する場合は、早めに上司に相談して退職の意思を伝えるタイミングも逆算しておくとスムーズです。
自己分析でアピールポイントを明確に
これまでの看護経験や取得した資格、研修歴など、自身の経歴を棚卸ししましょう。自分の強みやキャリアの実績を整理することで、履歴書・面接での自己PRにつながります。
また、転職先へ貢献できるスキルを自覚しておくと、志望動機や面接で自信を持って話せます。
例えば「夜勤が得意でスタッフのシフト調整経験がある」「若手指導の経験が豊富」など具体的なエピソードがあると説得力が増します。
看護師転職の情報収集方法
転職活動では求人情報の探し方が鍵です。情報収集は自分で探す方法と、プロの転職支援サービスを利用する方法があります。
自分のペースで進めたい人は求人サイトや病院公式サイトをチェックし、サポートが欲しい人はエージェントを活用すると良いでしょう。ここでは主な方法と特徴をまとめておきます。
- 病院・クリニックの公式採用サイト:直接応募でき、病院側とのコミュニケーションが取りやすい。
- 看護師専門の求人サイト・転職エージェント:多くの求人を扱い、キャリアアドバイザーからのサポートが受けられる。求人票にはない内部情報を教えてもらえるメリットもある。
- ハローワーク・看護協会:地域密着型の求人が多く、無料で利用可能。ただし求人数は限られ、情報更新が遅い場合もある。
- 知人・ネットワーク:期待条件に合う職場を紹介してもらえることも。口コミやSNSで情報交換するのも一つの手。
情報収集方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
転職エージェント | 専任アドバイザーによる履歴書添削や面接対策、非公開求人の紹介が受けられる | 担当者との相性が合わない場合もある。多くの人が利用するため人気求人は競争率が高い |
求人サイト | 自分の条件で自由に検索でき、求人の量が多い | すべて自力で進める必要があり、情報も表面的になりがち |
病院・クリニック公式サイト | 病院の雰囲気や最新情報を直接確認できる | 求人更新が遅い場合もあり、選択肢が少ない |
ハローワーク/看護協会 | 無料で地域求人を探せる。公的機関なので安心感がある | 専門性に欠ける担当者が対応することもあり、求人の質は場所によってバラつきがある |
求人サイトや転職エージェントを活用する
看護師向けの求人サイトや転職エージェントには、常時多くの募集が掲載されています。
エージェント登録は無料で、病院側からの紹介料で運営されているため、利用者である看護師が費用を負担する必要はありません。
アドバイザーは施設の雰囲気や人間関係、離職率など求人票に書かれていない情報を教えてくれる場合もあります。
またエージェントは履歴書添削や面接アドバイスもしてくれます。
特に働きながら転職活動をする場合は、担当者が面接日程の調整を行ってくれるなど、時間の節約になります。
注意点としては、求人紹介で強く勧められることもあるので、自分が譲れない条件はしっかり伝えましょう。
病院・クリニックの募集情報を探す
興味のある病院・クリニックがあれば、公式ページで採用情報をこまめにチェックしましょう。
病院が直接募集している場合、独自の採用基準による選考が行われることが多く、面接の流れも施設独自のものです。
直接応募には応募書類の準備から日程調整まで自分で管理する必要がありますが、紹介料が発生しない分、担当者に売り込みをされにくいというメリットがあります。
ハローワーク・看護協会の利用方法
ハローワークや各都道府県の看護協会など公的機関でも求人検索ができます。
ハローワークではきめ細かい支援は少ないものの、地域ごとの求人が豊富で、場合によっては紹介状なども作成してくれます。
看護協会(ナースセンター)では、キャリアアドバイザーが看護師目線で相談に乗ってくれる利点があります。
いずれも無料で利用できますので、情報の幅を広げたいときに活用しましょう。
履歴書と職務経歴書の書き方
応募書類は自分をアピールする重要なツールです。看護師の履歴書では資格や免許欄の書き漏れがないようにし、取得年月日もしっかり記入します。
勤務先名や部署、在籍期間なども正確に書きましょう。
手書き or PC作成は施設によって好みが分かれますが、誤字脱字なく読みやすくするのが第一です。
職務経歴書には、これまでの職場での経験や実績を時系列でまとめます。
「役職・担当業務」「症例数」「資格取得の有無」など詳細に書くと、面接官にも具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。
また看護師特有の経験(委員会活動や教育研修参加など)も積極的に記載し、自分の強みをアピールしましょう。
志望動機・自己PRの作り方
志望動機や自己PRは履歴書の中でも特に重視される項目です。
志望動機では「なぜその医療機関を選んだのか」「自分が何をしたいのか」を具体的に述べます。
過去の経験と応募先の特徴を結びつけると説得力が増します。
例えば「前職で〇〇を経験したので、次は□□を学びたい」など、前向きな転職理由を盛り込みましょう。
自己PRでは、自分の人柄や仕事への姿勢、看護観を簡潔にまとめます。数字や具体例があればなお良いです。
履歴書の注意点
履歴書では誤字脱字や記入漏れに注意しましょう。特に看護師の場合、資格や免許欄の記載ミスは致命的です。
写し間違えないよう最新のものを手元に置いておくと安心です。
また、志望理由や希望条件については簡潔にまとめつつも、自分のキャリアプランに合致している点をアピールすると応募先の理解を得やすくなります。
面接・病院見学のポイント
書類選考を通過したら面接・見学に進みます。病院見学は実際の職場を知るための良い機会です。
見学の際は職場の雰囲気、看護師同士の連携、忙しさの度合いなどをチェックしましょう。
服装は清潔感のあるオフィスカジュアルで問題ありません。名札や患者対応にも注意し、礼儀正しく振る舞います。
面接前には質問の想定練習をしておくと安心です。看護師面接でよく聞かれる質問は次のようなものがあります。
- 自己紹介(職務経歴や性格の簡潔な紹介)
- 転職理由と転職先で実現したいこと
- 尊敬する看護師像や看護に対する考え方
- 夜勤やシフトへの柔軟性、キャリアプラン
- 今までで大変だった経験とその対処法
どの質問にも、自分の経験や志望動機を絡めて答えると良いでしょう。面接では誠実さや前向きさ、仕事への熱意を表情や姿勢で伝えることが大切です。
病院見学で確認すべきこと
見学時には、病棟の看護師配置(看護基準)や雰囲気、勤務形態をメモしておくと後で比較しやすいです。
看護師同士や患者さんとのコミュニケーションの様子も観察しましょう。疑問があれば見学後に質問するのもOKです(勤務時間、教育体制、施設の特長など)。
面接でのマナー・服装
面接日は清潔な身だしなみで臨みましょう。スーツやオフィスカジュアル、ナース服を共用する教官など、相手の雰囲気に合わせます。
遅刻はNGなので時間に余裕を持って会場に向かってください。
当日は履歴書と職務経歴書のコピーを持参し、忘れ物がないか前日によく確認しましょう。
面接でよく聞かれる質問と回答例
例えば「転職理由」については、「現職では〇〇という理由で□□な課題を感じたので、貴院の△△な環境でスキルを活かしたい」と前向きに答えましょう。
また「自己PR」で困難を乗り越えた経験を聞かれた場合は具体的なエピソードと学んだことを簡潔に述べると好印象です。
退職手続きと円満退職
新しい職場から内定をもらったら、現職での退職準備に入ります。
一般的に退職の意思は上司に相談し、正式な退職届は引継ぎ計画を立ててから提出するのがマナーです。
退職のタイミングをいつにするかは、新しい職場の入職日や現職のシフト状況を考慮して決めましょう。
<ポイント>
退職を伝えるときは衝動的な態度を避け、事実を落ち着いて説明しましょう。引継ぎは自分だけでなく後任者やチーム全体が混乱しないよう計画的に進め、メモやマニュアル作成も行うと印象が良いです。
上司への退職報告のタイミング
一般に引継ぎの準備なども考慮し、退職の1~2ヵ月前には上司に伝えます。早めに意思表示することで、会社側も後任の手配を進めやすくなります。
伝える際は感謝の気持ちを忘れず、前向きな理由であることを伝えると円満退職につながります。
引継ぎの進め方と注意点
引継ぎ内容はチェックリストやマニュアルにまとめ、必要な情報は漏れなく共有しましょう。後輩看護師への技術指導やカルテへのコメントなど、業務を滞らせない配慮が大切です。
退職前は忙しくなりがちなので、計画的に時間を使い、書類作成や整理を進めておきましょう。
退職届や書類の準備
退職届は会社所定のフォーマットがある場合もありますので、事前に確認してください。労働条件通知書や雇用契約書と照合しながら作成しましょう。
退職に伴う有給消化や保険手続き、厚生年金・国保への切替えなども忘れずに行ってください。
転職エージェント・転職サイトの活用
転職サイトやエージェントは看護師の転職活動で非常に有効です。
複数登録しておけば、より多くの情報を得られます。エージェントは非公開求人や施設内部の情報を教えてくれるので、第一志望の求人が見つかる可能性が上がります。
一方、求人サイトは自分で条件を絞って検索できるメリットがあります。
利用する際のポイントは以下の通りです。
- エージェントは必ず担当者に希望条件を明確に伝える
- 紹介された求人は紹介者側の意向もあるので、自分でも仕事内容を調べる
- 何社か登録して比較し、自分に合ったサポートが受けられるところを選ぶ
転職エージェントを使うメリット
エージェントの大きなメリットは、プロの目線からキャリア相談ができる点です。書類添削・面接練習・年収交渉などきめ細かいサポートが受けられます。
働きながら転職活動する場合、面接調整を代行してもらえるのも助かります。
おすすめの転職サイト・エージェント
看護師専門の転職サイトでは「看護のお仕事」「ナース専科転職」「マイナビ看護師」などが有名です。
サイトごとに取り扱う求人やサポート内容が異なるため、気になるものは資料請求や問い合わせをして比較してみましょう。
各サイトで公開されている情報が違うので、複数利用すると多角的な視野で求人を見ることができます。
利用時に注意したいポイント
エージェントの登録は無料ですが、希望条件と合わない求人ばかり来る場合は担当変更を依頼したり、退会して他社を探すのも一つの方法です。
また、交渉の際は自分の優先順位を伝えすぎると視野が狭くなることもあるので、現実的なラインも考慮しましょう。
求人票だけでは分からない職場文化などは、必ず面接や見学で自分の目で確認することを忘れずに。
看護師転職成功のコツ
転職を成功させるには、事前準備と自己プロモーションが鍵です。以下の点を押さえておきましょう。
- 転職先でのキャリアプランを明確にしておく:将来の目標と照らし合わせて、成長につながる職場を選ぶ
- 婚トラ交渉:給与やシフトの希望は入社前に確認・交渉し、納得してから決断する
- 職場環境の見極め:職場の雰囲気や残業状況、教育体制など自分が重視するポイントをよく下調べする
条件交渉:給与や勤務条件
希望年収や夜勤の回数などは内定時に交渉できます。あらかじめ譲れない条件のラインを決めておくと交渉しやすいです。
ただし医療機関は予算があるため、大幅なアップは難しいことも。現実的に、看護師の転職で年収が5~10%程度上がるケースが多いと言われています。
交渉する場合は、自分の経験や実績、看護配置基準の改善への意欲などをアピールすると説得力が増します。
職場選びの視点:雰囲気・ワークライフバランス
求人票には書かれていない職場の雰囲気やチームの人間関係は、実際に働いてみないとわからないことも多いです。
同じ規模の病院でも、上司の指導方針や看護観は様々です。面接や見学で少しでも疑問が残るなら、SNSの口コミや元スタッフの意見も参考にしましょう。
転職後のキャリアプランを考える
転職はゴールではなくスタートです。転職後のキャリアアップを見据えておくとモチベーション維持につながります。
例えば「5年後には認定看護師を取得したい」「管理職を目指して教育体制が充実した職場を選ぶ」など、先を見据えた目的があると日々の学び方も変わってきます。
自分が何を学びたいかを明確にし、それを叶えられる環境を選ぶことが、転職成功の一つの指標と言えるでしょう。
まとめ
看護師の転職活動は、綿密な準備と情報収集が鍵です。転職の目的を明確にし、求人探しや応募書類の作成、面接対策、現職での退職手続きといったステップを一つ一つ丁寧に進めましょう。
特に2025年問題の影響もあり、看護師を求める求人は今後も増加傾向にあります。複数の情報源を活用して賢く探せば、より希望に合った職場を見つけやすくなります。
志望動機や自己PRは具体例を交えてしっかり準備し、面接当日は明るく前向きな姿勢で臨んでください。退職時もマナーを守って円満に進められれば、新天地への良いスタートが切れるはずです。
この記事が看護師のみなさんの転職活動のヒントとなり、納得のいく職場に出会えるための参考になれば幸いです。